皆さん「暗黙の強化」という心理効果をご存知でしょうか。
誰しも、一度は経験している心理効果なのですが、その効果を知らずに第三者に影響を与えていたり、また第三者から影響を受けていたりします。
今回は、その「暗黙の強化」についてまとめてみたいと思います。
「暗黙の強化」を知ることによって戦略的に人間関係を構築出来たり、意味もなく振り回されたりもしなくなりますので、知っておいて損はありません。
では、さっそくまいりましょう。
暗黙の強化とは
暗黙の強化とは、
第三者が褒められると自分がけなされたり否定されたと感じること。
逆に
第三者がけなされたり否定されたりすると、自分が褒められたと感じること。
いくつかのシーンで具体的な例をお示ししますね。
【職場の人間関係】
まずは職場関係です。
相手(上司)が、第三者(他の部下)を褒める場合


※Bさんは、自分が何か否定されているように感じます。
相手(同僚)が、第三者(他の同僚)を否定する場合


※Bさんは、自分が何か褒められているように感じます。
相手(上司)が、第三者(他の部下)を褒める場合


※Bさんは、自分が何か否定されているように感じます。
相手(上司)が、第三者(他の部下)を否定する場合


※Bさんは、自分が何か褒められているように感じます。
【営業・マーケティング】
自社の製品のポジティブイメージを持ってもらうことで、ライバル会社製品・不特定多数の他社製品についてネガティブイメージを持ってもらう。
※ユーザーの印象:長い間愛用されているということは、良い製品(サービス)なんだ。(間接的に他社製品を否定したことになります)
※ユーザーの印象:正規品なんだ!(間接的に他社製品を否定したことになります)
※ユーザーの印象:発案した会社の製品(サービス)だから、品質は確かだろう。(間接的に他社製品を否定したことになります)
優秀な営業マンは、このテクニックを駆使しています。
また、上記のようなフレーズを聞かされたあなたは、知らず知らずのうちに、暗黙の強化が発動されています。
【恋愛】
暗黙の強化は恋愛シーンでも、その効果を発揮しまくりです。
早速見ていきましょう。
相手(あなた)が、恋人以外の第三者を褒める場合


※彼女は、自分が何か否定されているように感じます。
言葉で褒めなくても、例えば通りすがりの男性や女性をジッと見ているだけでも、彼氏彼女の暗黙の強化が発動されます。
一番してはならないのは、元カレ、元カノを褒めること。
これは致命的になるので、絶対に避けましょう(^^♪
相手(あなた)が、恋人以外の第三者を否定する場合


※彼女は、自分が何か褒められているように感じます。
良い人間関係構築で暗黙の強化を使う際の注意点
暗黙の強化は万能ではありませんので、いくつか注意が必要です。
内容を予め押さえておいてくださいね。
第三者を否定(けなす、悪口)するときに注意しておきたいのが、固有名詞を使わないことです。
例えば、
(あなた)Aちゃんてさ、あざとくない? いつも、男性に意味深な素振り見せてさ~。
(相手)そうだよね~。
この時の相手の印象:Aちゃんの印象を持つとともに、あなたへも同じ印象を抱いています。
つまり、あなたにもネガティブイメージを持たれてしまう可能性があるということ。
注意をしてくださいね。
ブーメランのように自分の印象に返ってきてしまう
暗黙の強化では、「自発的特徴変換」に注意しなければなりません。
自発的特徴変換とは、「会話の中に出てきた第三者の特徴や印象が、話し手(あなた)の特徴や印象に置きかわってしまう」という現象です。
つまり、あなたが第三者を否定したとすると、その否定している理由(自分勝手、ご都合主義、優柔不断、怒りっぽい、無責任等ネガティブイメージ)が、いつの間にかあなたのイメージとして相手に伝わってしまうのです。
ただし、相手もその第三者に対して同様のネガティブイメージをもっていたとするならば、自発的特徴変換は発動されませんからご安心ください。
いずれにしても、結構、第三者を否定的に評価して、それを誰かに話しをすることが多い方は注意が必要ですね。
でも、第三者を否定することなんて、よくあること。
その度に、自分に返ってきてしまうリスクに晒されるのも不本意ですよね。
そういう時は、誰か特定の人を評価するのではなく、抽象化して一般論として評価することで回避できます。
また、この自発的特徴変換は、逆の効果もあるのです。
何かと言うと、あなたが第三者を好意的に高評価したとすると、あなたへの好印象につながるということ。
ただし、先に述べたように、聞かされた相手は、自己否定されたと思ってしまう暗黙の強化が発動してしまうため、シーンは使い分ける必要がありますね。
まとめ
暗黙の強化が発動されるのは、自分と身近な人が対象となった場合に発動されます。
あまりにも非現実的な人との関係性では発動されません。
例えば、
有名な映画スターが褒められて、あなたが否定(けなされて)されているとは思わないでしょう。
政治家が批評されていても、あなたが褒められているとは思いにくいと思います。
それは、あなたと比較対象者(第三者)が、あまりにもかけ離れた立場の人だから、感情が揺さぶられないからなのです。
暗黙の強化は、相手の心が揺さぶられるときに発動するんです。
そのトリガーが自分と身近な人が対象となった場合なのです。
ですので、この暗黙の強化を発動したい時は、相手の身近な人間関係であることが求められます。
私は、日常から人間関係や会社のマネジメントで、この暗黙の強化を意識しています。
馴れると、あらゆるシーンで使えるようになり、かなり有効なテクニックになります。
ぜひ、皆さんもご参考になさってみてください。
今回も、最後までお読みいただきありがとうございました。