良いことはいつまでも覚えていたいのに、すぐ忘れてしまう。
嫌な思い出はすぐにでも忘れてしまいたいのに、いつまでも覚えている。
そんなことを思ったことある人多いのではないでしょうか。
ホント、特に嫌な記憶っていつまでもいつまでも残っていますよね。
いったいなぜなのでしょうか。
日常生活では、嫌なことだらけ。
嫌なことだらけに囲まれていると、どんどん気持ちは疲れていってしまいます。
なんとかならないか?
そんな悩みをお感じの方に、この記事は最適です。
この記事では、
- 嫌なことはなぜいつまでも覚えているのか?
- では、その嫌なことを忘れるにはどうしたらいいのか?
- やってはいけない忘れ方。
についてまとめてみました。
ぜひ最後まで、お読みください。
忘れることは現代の最強スキル_「忘却力」
「忘却力」って言葉聞いたことありますか?
あまり馴染みのない言葉かもしれませんが、私が世の中に数多あるスキルの中で「最強」と位置付けているスキルです。
「忘却力」とは、文字通り「忘れる力」です。
「ほっときゃその内忘れるでしょ!」なんて思ったアナタ。
それは違いますよ。
確かにほっといても忘れますが、現代社会では、意図的に自身でコントロールして忘却力を発揮しなければならないほど様々なストレスにさらされているんです。
一般的に記憶力は高いことが良しとされてきました。
でもでも、それって本当でしょうか。
記憶力が良いと言うことは、良いことのほか、悪いことも覚えているということ。
2008年には発表された日本心理学会の『記憶力と意図的忘却力の関係』という
研究結果では、記憶力が良い人ほど、「覚えたことを意図的に忘れられない」ということがわかっています。
記憶力が高いがために、嫌なことをいつまでも忘れることができず、結果その記憶に苦しめられているのです。
まじか!!
そんな理不尽なことないですよね。
おそらく、多くの人は記憶力を高める努力をしてきた経験はあると思いますが、忘れる忘却力を高める努力をしてきた人は、そうそういないのではないかと思います。
現代に求められるスキルは、記憶力よりも「意図的に忘れることが出来る力」、つまり「忘却力」なのです。
ぜひ、一緒に忘却力を高めていきましょう。
忘れないメカニズムとは
「記憶する」・「忘れる」にはメカニズムがあります。
人の記憶はいつまでも続くものではありませんからね。
記憶というと、忘却曲線を押さえておく必要があります。
忘却曲線とは、別名「エビングハウスの忘却曲線」とも言い、ドイツの心理学者のヘルマン・エビングハウスという人が提唱した、「無意味な綴りを暗記させたあとの保持率」という実験結果であり、時間の経過で人の記憶は薄れていくものですが、再学習を繰り返すことによって、忘却が防止されるというもの。
エビングハウスの結果は次の通り。
20分後には、42%を忘却し、58%を覚えていた。
1時間後には、56%を忘却し、44%を覚えていた。
1日後には、74%を忘却し、26%を覚えていた。
1週間後には、77%を忘却し、23%を覚えていた。
1ヶ月後、79%を忘却し、21%を覚えていた。
時間の経過と共に忘れていっているのが、明白です。
ん??
でも、何か違和感ありませんか?
「嫌なことはいつまでも覚えているぞ。」
こんな声が聞こえてきそうです。
ここでのポイントは、嫌なことは時間の経過だけでは影響を受けないほど、根深く我々の記憶の大地に「ぶっとい」根を張っているのです。
この根っこをどうにかしないと、いつまで経っても嫌なことは忘れられません。
では、なぜ嫌なことはいつまでも覚えているのでしょうか。
この答えは、簡単です。
エビングハウスの忘却曲線の結果で証明されています。
つまり、知らず知らずのうちに、「再学習(思い出す)」ことを繰り返してしまっているのです。
例えば、1時間、嫌なことを考えないことによって、56%を忘れられるのに、1時間以内に思い出してしまうことによって、その記憶が忘却しない。
しかも、短時間でその記憶を思い出すたびに、人の記憶は「短期記憶」から「長期記憶」に様変わりして、先に触れた「ぶっとい根っこ」に変わってしまうのです。
忘れる方法最強5選
まず各論に入る前に、総論を確実に抑えましょう。
忘れる最適かつ必要な方法は、
忘却曲線がどんどん下降するまで、思い出さないこと
でも、この思い出さないことが意外に難しい。
とは言っても、工夫次第では可能です。
さぁ、ここからこの思い出さない方法を一緒に整理していきましょう。
ここから紹介するのは、私が日常の仕事で実際に多くの社員面談等でアドバイスしてい内容になります。
意識して忙しくする
「忙しくする。」
これは最強の忘却力を発揮するためのアクションです。
人の脳は、多くのことを処理するのが苦手で、一つのことに意識を向けたくなるのです。
つまり、意識の向く範囲が狭くなります。
忙しくすることで、意識の向く方向を意図的に絞るということ。
簡単に言うと、自分で意識して忙しくするんです。
忙しくする方法は、仕事でも家事でも何でもOK。
職場で言えば、何かの役割を担当する、何かの仕事を自ら引き受けるなど。
ここでのポイントは、やってもやらなくても良いことではなく、責任や期限が明確になっている役割りを担うこと。
人は、責任や期限を守ると言う意識が働くと、集中力が増すことがわかっています。
そうしないと、いつの間にかズルズルして、また嫌なことを思い出してしまうスキをあなたの脳に与えてしまいますからね。
余計なことを考えなくするには、意図的に忙しくすること。
ぜひ、お試しください。
好きなことに没頭する
前項の「意識して忙しくする」に通ずるところもあるのですが、ここでは自身の好きなことにスポットを当てて、そこにあなたの時間を集中投下するということ。
好きなこと、楽しいことをしていると、いつの間にか時間が過ぎていた、時間が経つのが早いなんて感じたことが誰しもありますよね。
あれは、物事に没頭していることで、時間的感覚が錯覚を起こしているからなのです。
それだけ、没頭するということは、嫌なことを考えない時間を“稼げる”ということ。
特に、好きなことであれば、多くの人は無理なく時間を投下できますからね。
人に嫌なことを聞いてもらう
「他の人に相談してすっきりした」
「人に話を聞いてもらうと気持ちが楽になった」
「相談したら前向きな気持ちになった」
ということはよく聞きます。
実は、人に話すこと、人に相談すること、これは脳科学的にも、とても効果が高いことがわかっています。
脳内には報酬系回路というものがあって、人に相談するとか、話を聞いてもらうという行動で、この報酬系回路が活性化するのです。
この働きは、食事、嗜好品を嗜んでいる(たばこ、酒等)、SEXなどの時にも起こります。
このように脳が活性化することで、新たな神経回路が形成され、
「勇気が湧く」・「解決策がひらめく」・「前向きな気持ちになる」なんて効果が出てくるのです。
このような感情が芽生えてくると、結果的に嫌な記憶にアクセスすることが少なくなります。
結果、「忘却力」発揮につながるという訳です。
運動をする
昔から、「運動をすれば頭がすっきりして嫌なことなんて忘れるよ。」とか言われたことありませんか?
これは・・・本当なんです。
運動をする時は、その運動に集中するという、マインドフルネス効果があります。
マインドフルネスについては、こちらの記事でも紹介していますので是非ご参照ください。

“今”に集中していれば、嫌なことを考える隙はなくなりますからね。
特におススメなのが、ウォーキングです。
スタンフォード大学の研究でも、ウォーキングで集中力が増し、脳がクリエイティブに活性化することがわかっています。
ある種の瞑想状態になるんですね。
多くの天才・偉人が取り入れているセルフコントロール法ですので、是非お試しください。
瞑想をする
瞑想、メディテーション、座禅、マインドフルネスと色々ありますが、ココロを落ちかせる瞑想はとても良いメソッドです。
個人的には、慣れないうちは誰かにリードされながらの瞑想がおススメです。
なぜならば、一人でやると、雑念が浮かびやすくなることも分かっているからです。
試しに、1分間、瞑想をしてみてください。
何も思い浮かべずに瞑想できる人、0だと思います。
なので、慣れるまで誰かのリードに頼るのです。
例えば、座禅なら禅寺で行う。
僧侶の説法や、読経を聴きながらの座禅の効果は計り知れません。 とくに、「お寺」というパワースポットの空気感も、非日常を感じさせ、効果が倍増します。
私自身、禅寺の座禅会に定期的に参加していますが、向き合い方が変わってきますので、とても効果的です。
多くの座禅会は無料で参加できますので、お気軽に試していただけたらと思います。
してはいけない忘れ方
何か嫌なことを忘れたいと思ったときに、誰しもがついついやってしまう「してはいけない忘れ方」について整理してみました。
ドカ食いをする
嫌なことがあってストレスが溜まると、とにかく「ドカ食い」することでストレスを解消しようとする心理が働きます。
「あ~も~嫌だ。好きな物食ってやる」って、誰でも一度は思ったことありますよね。
そんな時は、デカ盛り、スイーツ、お構いなし。
カロリー、糖質なんでも来い!です。
食べている、ほんの一瞬の間は、食べることに集中しているので嫌なことは忘れているかもしれませんが、食べ終わった後には、すぐに嫌な記憶が蘇ってきます。
しかも、がっつり食べているので、カラダに要らぬ負担をかけて。
このドカ食いで忘れようとするやり方はおススメしません。
必ず後悔します。
深酒をする
これも、多くの人が経験しているやり方かもしれません。
私も、何度も経験があります。
お酒の力ってスゴイですよね。
確かにお酒で酔うことで、そのひと時は確かに忘れられます。
しかし、酔えば酔うほど、カラダへの負担は計り知れずです。
人によっては、酔うことで、更に嫌な記憶を強く想起してしまうことも。
それがきっかけとなって、普段では考えられないような行動に出る人も少なくありません。
ニュースを賑わせる事件でよく聞く「むしゃくしゃしてやった」というアレにつながってしまいますからね。
だらだらする
だらだらする。
一見すると、リラックスして良さそうな気もしなくはありませんが、だらだらするとき、人は物事をいつも以上に考えてしまうのです。
その時は、ともすると、強く記憶に残っている嫌な記憶が、想起されることが実に多いです。
そうなると、せっかくだらだらしているのに、気持ちは高ぶってしまい、余計イライラしてしまいます。
まとめ
今回は、
記憶のメカニズム
忘れるメカニズム
そして、嫌なことを忘れるための5つの方法をまとめました。
- 意識して忙しくする。
- 好きなことに没頭する。
- 人に嫌なことを聞いてもらう。
- 運動をする。
- 瞑想をする。
さらに、やってはいけない忘れ方についても、整理してみました。
人は無意識でいると、忘れることよりも、いつまでもくよくよしてしまうもの。
しかも、その過去は変えられず、なぜ、なぜと後悔を繰り返す。
我々の人生、時間は有限です。
ぜひ、嫌なことは忘却の彼方に追いやり、健康で豊かな人生を歩んでいきたいですね。
今回も、最後までお読みくださりありがとうございました。